先日紹介した(こちら)Playing for Changeによる「Stand By Me」の演奏はロサンゼルスをベースに活動していたストリート・ミュージシャン Roger Ridley(ロジャー・リドリー)のパフォーマンスがベースになっています。
リドリーの歌う「Stand By Me」をサンタモニカで聴いたことが世界のミュージシャンを結ぶPlaying for Changeのコンセプトにつながっていったと制作者が回顧しているように(こちら)彼はこのプロジェクトで非常に重要な役割を果たした人物ですが、2005年に亡くなっています。
そのソウルフルな歌声に惹かれて「どんな人なんだろう」と彼のウェブサイト(こちら)を訪れた時にそのことを知ってとても残念だったのですが、プロフィールにあったひと言も深く印象に残りました。冒頭のところで、「自分は『喜び』を与える仕事に就いているんだ(I was in the "JOY" business)」と書かれていたのです。
「Joy business」という言葉はあまり聞き慣れないものですが、頭の中で反芻するうちにすごく素敵な言葉だなあと思うようになりました。よく使われる「エンターテインメント・ビジネス」がより商業面を強調しているように感じられるのに対し(良いとか悪いということではなく、例えばマイケル・ジャクソンに代表されるように)、「ジョイ・ビジネス」という言葉はより深く、より純粋な”喜び”というものを想起させます。そして、ロジャー・リドリーが毎週末ラスベガスから片道5時間近くをかけてサンタモニカの路上まで演奏に来ていたということを知り、彼がしていたのは正に「ジョイ・ビジネス」だったんだなということを強く感じたのです。
そんなロジャー・リドリーの演奏をPlaying for Changeのチームが収めたもうひとつの曲があります。サム・クックの「Bring It on Home to Me」です。 「Songs Around the World」のCDには入っていませんが、これもソウルの名曲中の名曲です。ぜひご覧になってみてください。
2010年8月30日月曜日
2010年8月29日日曜日
Playing for Change ~ One Love
前回のエントリで書いたPlaying for Changeの曲で、もうひとつすごく気に入っているものがあります。ボブ・マーリーの「One Love」です。
こちらも、曲の素晴らしさはもちろんのこと、「音楽が本当に好きなんだな~」という感じが伝わってくる様々なミュージシャンたちの競演の様子が印象的です。前回の「Stand By Me」とともに、音楽が持つパワーを感じるクリップです。
こちらも、曲の素晴らしさはもちろんのこと、「音楽が本当に好きなんだな~」という感じが伝わってくる様々なミュージシャンたちの競演の様子が印象的です。前回の「Stand By Me」とともに、音楽が持つパワーを感じるクリップです。
2010年8月28日土曜日
Playing for Change
巷にはカバー曲があふれていますが、それがオリジナルを超えることは稀だと思います。特にオリジナルが有名であればある程、また自分がそれに親しんでいればいる程、新たに聞くバージョンに対する評価は厳しくなりがちです。
自分にとってそんな曲のひとつが「Stand By Me」です。ジョン・レノンのバージョンも、忌野清志郎のバージョンも良いけれど、やはり同名映画の主題歌になったベン・E・キングの歌には及びませんでした。
でも、Playing for Changeによるこの「Stand By Me」はすごく良い。オリジナル以上、なのかどうかは何とも言えませんが、ここまで包容力とソウルを感じさせる「Stand By Me」は初めてかもしれません。
Playing for Changeは、音楽を通じて世界をより良い方向に変えていこうというプロジェクトで、世界各地のストリート・ミュージシャンなどがコラボレーションするという形でアルバムにまとめ上げられたのが「ソングス・アラウンド・サ・ワールド」のCDです。
ここで紹介した「Stand By Me」もその中の1曲です。ここでは、ロジャー・リドリーの歌をベースにして世界中から30人以上のミュージシャンたちがバーチャルにセッションに参加して完成したものです(それがどういうものなのかは、動画を見ていただければわかると思います)。コンセプトの斬新さにも惹かれますが、そうして出来た素材を編集し、音を整理してひとつの作品にした制作者の力量にも脱帽しました。このCDは必聴ものです。
自分にとってそんな曲のひとつが「Stand By Me」です。ジョン・レノンのバージョンも、忌野清志郎のバージョンも良いけれど、やはり同名映画の主題歌になったベン・E・キングの歌には及びませんでした。
でも、Playing for Changeによるこの「Stand By Me」はすごく良い。オリジナル以上、なのかどうかは何とも言えませんが、ここまで包容力とソウルを感じさせる「Stand By Me」は初めてかもしれません。
Playing for Changeは、音楽を通じて世界をより良い方向に変えていこうというプロジェクトで、世界各地のストリート・ミュージシャンなどがコラボレーションするという形でアルバムにまとめ上げられたのが「ソングス・アラウンド・サ・ワールド」のCDです。
ソングス・アラウンド・ザ・ワールド(DVD付) | |
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ここで紹介した「Stand By Me」もその中の1曲です。ここでは、ロジャー・リドリーの歌をベースにして世界中から30人以上のミュージシャンたちがバーチャルにセッションに参加して完成したものです(それがどういうものなのかは、動画を見ていただければわかると思います)。コンセプトの斬新さにも惹かれますが、そうして出来た素材を編集し、音を整理してひとつの作品にした制作者の力量にも脱帽しました。このCDは必聴ものです。
2010年8月26日木曜日
きりのなかのサーカス
ブルーノ・ムナーリ(Bruno Munari)というイタリアのデザイナーがいます。10年ほど前に亡くなっているのですが、とても独創的な絵本や子ども向けのおもちゃを生み出したことでも知られています。
彼の代表作のひとつである「きりのなかのサーカス」という絵本(初版1968年)の邦訳が、今年9月にフレーベル館から復刻出版されました。しかも訳したのは谷川俊太郎さん。最近それを知ってさっそく読んでみたのですが、デザインのセンスと遊び心にあふれるすごく素敵な絵本でした。
ページの一部が切り取られていたり穴が開いていたりと仕掛け絵本の一種なのですが、イラストと切り抜きや穴などを組み合わせたページの構成や鮮やかな色使いが本当に斬新で、こんな絵本ってあるんだという驚きが最初の感想でした。トレーシングペーパーを使って表現される「霧の中」の感じも秀逸です。大人でも十分に楽しめますが、子どもが読めばさらに感受性が刺激されるのではないかと思うような本でした。
彼の代表作のひとつである「きりのなかのサーカス」という絵本(初版1968年)の邦訳が、今年9月にフレーベル館から復刻出版されました。しかも訳したのは谷川俊太郎さん。最近それを知ってさっそく読んでみたのですが、デザインのセンスと遊び心にあふれるすごく素敵な絵本でした。
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ページの一部が切り取られていたり穴が開いていたりと仕掛け絵本の一種なのですが、イラストと切り抜きや穴などを組み合わせたページの構成や鮮やかな色使いが本当に斬新で、こんな絵本ってあるんだという驚きが最初の感想でした。トレーシングペーパーを使って表現される「霧の中」の感じも秀逸です。大人でも十分に楽しめますが、子どもが読めばさらに感受性が刺激されるのではないかと思うような本でした。
2010年8月25日水曜日
ジョン・カサオナ「密猟者から世話人へ」(邦訳)
以下は、TED Talksのひとつ、 ジョン・カサオナ「密猟者から世話人へ」(John Kasaona:How poachers became caretakers)の拙訳による日本語訳文です。このトークについての紹介はこちらをご覧ください。
2010年8月24日火曜日
ジョン・カサオナ「密猟者から世話人へ」(紹介)
僕が翻訳を担当したTEDトークの日本語字幕がつい最近公開されました。自分が訳したもの、気に入ったものなど、TEDトークの紹介をしていきたいなと前から思っていたのですが、このトークから始めることにします。
ジョン・カサオナ「密猟者から世話人へ」(John Kasaona:How poachers became caretakers)
[TED2010, 15分46秒]
※邦訳の全文はこちらを参照。
ジョン・カサオナは、アフリカ大陸の南西部にあるナミビアのヒンバ族出身で、コミュニティに基盤を置いた野生動物の保護を通じて人々の暮らしと動物たちの生活環境をともに向上させようと活動しています。
このトークでは、「アフリカからの成功事例」として、自らの取り組みを紹介しています。
と冒頭で切り出してから、終盤で
とまとめるまでの間に、幼少期に大草原で受けた父の教えから内戦や飢饉の時代、そしてコミュニティが自然との関係を取り戻すことで再生していく様子が、情感と情熱、そしてユーモアたっぷりに語られていきます。
話の内容自体もすごく面白いのですが、冒頭でぎゅっと観客の心をつかみ、笑いで皆を和ませ、苦難の時代を乗り越えて高らかに成果を語り上げていくというプレゼンの手法も見事なものです。「ナミビアがアフリカの手本となり、アフリカがアメリカの手本となる」-いい言葉だと思います。ぜひご覧になってみて下さい。
なお、上にもリンクを入れましたが、邦訳の全文をこちらのページに載せましたので、ご興味のある方はあわせてご覧になってみて下さい。
ジョン・カサオナ「密猟者から世話人へ」(John Kasaona:How poachers became caretakers)
[TED2010, 15分46秒]
※邦訳の全文はこちらを参照。
ジョン・カサオナは、アフリカ大陸の南西部にあるナミビアのヒンバ族出身で、コミュニティに基盤を置いた野生動物の保護を通じて人々の暮らしと動物たちの生活環境をともに向上させようと活動しています。
このトークでは、「アフリカからの成功事例」として、自らの取り組みを紹介しています。
"このところアフリカに関する話といえば、飢餓やエイズ、貧困や戦争のことばかりです。でも私がこれから話したいのは、成功についての話です。"
と冒頭で切り出してから、終盤で
"こうしたアフリカからの良い知らせを、私たちは声を大にして伝えたいのです。"
とまとめるまでの間に、幼少期に大草原で受けた父の教えから内戦や飢饉の時代、そしてコミュニティが自然との関係を取り戻すことで再生していく様子が、情感と情熱、そしてユーモアたっぷりに語られていきます。
話の内容自体もすごく面白いのですが、冒頭でぎゅっと観客の心をつかみ、笑いで皆を和ませ、苦難の時代を乗り越えて高らかに成果を語り上げていくというプレゼンの手法も見事なものです。「ナミビアがアフリカの手本となり、アフリカがアメリカの手本となる」-いい言葉だと思います。ぜひご覧になってみて下さい。
なお、上にもリンクを入れましたが、邦訳の全文をこちらのページに載せましたので、ご興味のある方はあわせてご覧になってみて下さい。
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翻訳したトークの紹介
2010年8月22日日曜日
TEDのオープン翻訳プロジェクト
TEDトークの講演の翻訳して日本語の字幕を付けるというプロジェクトにボランティアとして関わり始めてから、1年余りが経ちました。「まだ1年か」という気持ちと「もう1年か」という気持ちが両方ありますが、これを始めたことで自分の世界が大きく広がったなという気がします。きょうはそんなTEDのことを少し書いてみます。
TEDは、Technology, Entertainment, Designを略したものです。アメリカのカリフォルニアを本拠として、これら3つの分野に加えて建築、教育、起業、科学、冒険、医療などさまざまな分野で最先端をゆく人々をスピーカーとして招き、「1人18分以内」というルールの下で自らの情熱やビジョンを語ってもらうというカンファレンスを毎年開いています。最近では「TEDx」という、TEDのコンセプトやスタイルに則った独自開催イベントが世界各地で開かれるようにもなってきています。例えば日本では今年、2回目となるTEDxTokyoが5月に、そして初開催となるTEDxTokyo yzが6月に開かれました。
僕も本場のTEDカンファレンスに参加したことはありませんが、そんな人でもスピーチを楽しむことができるよう、TEDのウェブサイト(http://www.tedxtokyo.com/)では講演の動画を無料でオンデマンド配信しています。毎週数本ずつ、新しい講演がアップされて行きます。そして、これがものすごく面白いのです。
上に挙げたような多彩なテーマの中で、それぞれのスピーカーが抜群のアイデアやそれを実現するための方法、ビジョンなどを次々と提示していきます。スピーカーの知性と洞察力、情熱、実行力などが、しばしば優れたユーモアのセンスに包まれて語られるのです。僕は、TEDトークからから大きな刺激を受けたり元気づけられたりしたことが数知れずあります。
講演は基本的に英語で行われているのですが、言葉の壁を超えるために有志を募って翻訳を進めようと昨春始められたのがTEDオープン翻訳プロジェクトです。これを書いている現在、日本語では311のトークに字幕が付けられています(こちらを参照)。
オープン翻訳プロジェクトのことを知った時は、とても興味を持った半面、ネイティブ並みの英語力がある訳ではなく翻訳の訓練を受けたこともない自分が参加しても大丈夫なんだろうかという気持ちにもなりました。でも、自分が感銘を受けたトークを自分の力で日本語に訳すことができる機会があるということに大きな魅力を感じて参加の申し込みをしました。良い決断だったと思います。自分の場合はひとつのトークを訳すのにかなりの時間がかかりますが、やはり動画を見るだけの時と翻訳をする時では、そのトークへの関わりの度合いが大きく異なるからです。何度も何度も英語の原稿や動画を見直すうちにわかってくること、というのもある気がします。また、翻訳は"翻訳者"と"レビュアー"のペアで進むのですが、自分の訳に別の人が目を通してくれることで、訳の間違いに気づかせてくれるだけでなく、表現などの勉強にもなるというのもメリットのひとつだと思います。
このブログでも、TEDトークのお気に入りの講演や、自分が翻訳やレビューを担当したものなどを少しずつ紹介していこうと思っています。
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TEDは、Technology, Entertainment, Designを略したものです。アメリカのカリフォルニアを本拠として、これら3つの分野に加えて建築、教育、起業、科学、冒険、医療などさまざまな分野で最先端をゆく人々をスピーカーとして招き、「1人18分以内」というルールの下で自らの情熱やビジョンを語ってもらうというカンファレンスを毎年開いています。最近では「TEDx」という、TEDのコンセプトやスタイルに則った独自開催イベントが世界各地で開かれるようにもなってきています。例えば日本では今年、2回目となるTEDxTokyoが5月に、そして初開催となるTEDxTokyo yzが6月に開かれました。
僕も本場のTEDカンファレンスに参加したことはありませんが、そんな人でもスピーチを楽しむことができるよう、TEDのウェブサイト(http://www.tedxtokyo.com/)では講演の動画を無料でオンデマンド配信しています。毎週数本ずつ、新しい講演がアップされて行きます。そして、これがものすごく面白いのです。
上に挙げたような多彩なテーマの中で、それぞれのスピーカーが抜群のアイデアやそれを実現するための方法、ビジョンなどを次々と提示していきます。スピーカーの知性と洞察力、情熱、実行力などが、しばしば優れたユーモアのセンスに包まれて語られるのです。僕は、TEDトークからから大きな刺激を受けたり元気づけられたりしたことが数知れずあります。
講演は基本的に英語で行われているのですが、言葉の壁を超えるために有志を募って翻訳を進めようと昨春始められたのがTEDオープン翻訳プロジェクトです。これを書いている現在、日本語では311のトークに字幕が付けられています(こちらを参照)。
オープン翻訳プロジェクトのことを知った時は、とても興味を持った半面、ネイティブ並みの英語力がある訳ではなく翻訳の訓練を受けたこともない自分が参加しても大丈夫なんだろうかという気持ちにもなりました。でも、自分が感銘を受けたトークを自分の力で日本語に訳すことができる機会があるということに大きな魅力を感じて参加の申し込みをしました。良い決断だったと思います。自分の場合はひとつのトークを訳すのにかなりの時間がかかりますが、やはり動画を見るだけの時と翻訳をする時では、そのトークへの関わりの度合いが大きく異なるからです。何度も何度も英語の原稿や動画を見直すうちにわかってくること、というのもある気がします。また、翻訳は"翻訳者"と"レビュアー"のペアで進むのですが、自分の訳に別の人が目を通してくれることで、訳の間違いに気づかせてくれるだけでなく、表現などの勉強にもなるというのもメリットのひとつだと思います。
このブログでも、TEDトークのお気に入りの講演や、自分が翻訳やレビューを担当したものなどを少しずつ紹介していこうと思っています。
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2010年8月21日土曜日
鶴見良行『東南アジアを知る - 私の方法 - 』(1995)
家族で実家に帰省中、長らく置きっぱなしにしていた本を少し処分することにしました。でも、予想通り、本の整理というのはなかなか進みません。本棚を眺めていると気になる本が次々に出てきて、パラパラとめくったりしているうちに時間が過ぎてタイムアウトになってしまうのです。
ということで今回も本の量はほとんど減らなかったのですが、改めて読み直したい本がいくつか出てきました。そんな本を紹介します。
まずは、鶴見良行さんの『東南アジアを知る』。東南アジアの特に島嶼部を歩き回り、ナマコやエビ、バナナなどを通して人々の暮らしやアジアと日本との結びつきを考察してきた著者の、研究の方法論や立ち位置などが記された本です。
この新書は鶴見さんが亡くなった後に発行されたいわば遺稿なのですが、僕にとってはこの本が初めて接する鶴見さんの本でした。自ら現地に飛び込んで取材や調査したことと、学問的な知識やモノの見方を突き合わせて独自の視点を生み出していく様子が鮮やかに描かれていて、興奮しながら読み進めたことを覚えています。
発行から15年が経つ今でも、その瑞々しい内容は全く色あせていませんでした。まだ途中までしか再読していませんが、特に気になった一節を引用します。
なるほど、と感じました。ただ、後半部分については、最近特に若い人たちの間で生まれつつあるムーブメント-例えばTEDxTokyo、半農半X、新しい公共、Green Drinks Tokyoだとか-には、被害者意識から始まったのではないものも多くあるように思います。「個別の案件について自分たちが被ったマイナスを補償してほしい」という動機よりも、「現状からプラスに持っていこう」あるいは「社会が全体としてマイナスの方向に向かっているからそれを変えていこう」といったような動機なのではないかと。このあたりのことはまた機会をとらえて考えてみたいと思います。
ということで今回も本の量はほとんど減らなかったのですが、改めて読み直したい本がいくつか出てきました。そんな本を紹介します。
まずは、鶴見良行さんの『東南アジアを知る』。東南アジアの特に島嶼部を歩き回り、ナマコやエビ、バナナなどを通して人々の暮らしやアジアと日本との結びつきを考察してきた著者の、研究の方法論や立ち位置などが記された本です。
東南アジアを知る―私の方法 (岩波新書) | |
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この新書は鶴見さんが亡くなった後に発行されたいわば遺稿なのですが、僕にとってはこの本が初めて接する鶴見さんの本でした。自ら現地に飛び込んで取材や調査したことと、学問的な知識やモノの見方を突き合わせて独自の視点を生み出していく様子が鮮やかに描かれていて、興奮しながら読み進めたことを覚えています。
発行から15年が経つ今でも、その瑞々しい内容は全く色あせていませんでした。まだ途中までしか再読していませんが、特に気になった一節を引用します。
知は知だけで力になることはありません。知は運動と結びついて初めて力となります。日本の今日の運動の多くは(中略)被害者の運動です。市民運動は、こうした性格を持っています。痛みがあるから運動には馬力があるが、力だけでは暴力になりかねない。無知は恐ろしいのです。」(p.71-72)
なるほど、と感じました。ただ、後半部分については、最近特に若い人たちの間で生まれつつあるムーブメント-例えばTEDxTokyo、半農半X、新しい公共、Green Drinks Tokyoだとか-には、被害者意識から始まったのではないものも多くあるように思います。「個別の案件について自分たちが被ったマイナスを補償してほしい」という動機よりも、「現状からプラスに持っていこう」あるいは「社会が全体としてマイナスの方向に向かっているからそれを変えていこう」といったような動機なのではないかと。このあたりのことはまた機会をとらえて考えてみたいと思います。
2010年8月20日金曜日
Entrepreneurs can change the world
「Entrepreneurs can change the world」という2分余りの動画を見ました。誰しもが幅広い好奇心と挑戦心を持つ子ども時代を引き合いに出しながら、人は誰でも起業家(Entrepreneur)になることができる、そして各々が自らの中にある起業家精神(Entrepreneurship)を解放することで社会をより良い方向に変えることができる、と説く動画です。
シンプルな動画ですが、言葉に力があり、とても勇気づけられました。印象に残った一節を引用します。
「Turbulence creates opportunities for success, achievement, and pushes us to discover new way of doing things.」"混乱から成功と達成に至る機会が生まれ、物事を成し遂げる新たな道筋が発見される"、といった感じでしょうか。
他の部分も英語ですが、そんなに難しくはありません。すごくお薦めなので、是非ご覧になってみて下さい。
シンプルな動画ですが、言葉に力があり、とても勇気づけられました。印象に残った一節を引用します。
「Turbulence creates opportunities for success, achievement, and pushes us to discover new way of doing things.」"混乱から成功と達成に至る機会が生まれ、物事を成し遂げる新たな道筋が発見される"、といった感じでしょうか。
他の部分も英語ですが、そんなに難しくはありません。すごくお薦めなので、是非ご覧になってみて下さい。
2010年8月18日水曜日
はじめに
Frontierという言葉には、"未開拓の分野"だとか"最先端"、"国境"、そして"辺境"といった意味があります。このブログでは、大きな意味での「frontier」ではなく、中にはそうしたものも含まれるかもしれませんが、自分にとっての新しい気づきや共感など、日々の暮らしの中で出会った身の丈サイズの「frontiers」について書き記していくつもりです。今までパラパラと余所に書いたままになっていたエントリなどもこちらにまとめていこうと思っています。よろしければ、ご覧になってみて下さい。
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