2010年8月22日日曜日

TEDのオープン翻訳プロジェクト

TEDトークの講演の翻訳して日本語の字幕を付けるというプロジェクトにボランティアとして関わり始めてから、1年余りが経ちました。「まだ1年か」という気持ちと「もう1年か」という気持ちが両方ありますが、これを始めたことで自分の世界が大きく広がったなという気がします。きょうはそんなTEDのことを少し書いてみます。

TEDは、Technology, Entertainment, Designを略したものです。アメリカのカリフォルニアを本拠として、これら3つの分野に加えて建築、教育、起業、科学、冒険、医療などさまざまな分野で最先端をゆく人々をスピーカーとして招き、「1人18分以内」というルールの下で自らの情熱やビジョンを語ってもらうというカンファレンスを毎年開いています。最近では「TEDx」という、TEDのコンセプトやスタイルに則った独自開催イベントが世界各地で開かれるようにもなってきています。例えば日本では今年、2回目となるTEDxTokyoが5月に、そして初開催となるTEDxTokyo yzが6月に開かれました。

僕も本場のTEDカンファレンスに参加したことはありませんが、そんな人でもスピーチを楽しむことができるよう、TEDのウェブサイト(http://www.tedxtokyo.com/)では講演の動画を無料でオンデマンド配信しています。毎週数本ずつ、新しい講演がアップされて行きます。そして、これがものすごく面白いのです。

上に挙げたような多彩なテーマの中で、それぞれのスピーカーが抜群のアイデアやそれを実現するための方法、ビジョンなどを次々と提示していきます。スピーカーの知性と洞察力、情熱、実行力などが、しばしば優れたユーモアのセンスに包まれて語られるのです。僕は、TEDトークからから大きな刺激を受けたり元気づけられたりしたことが数知れずあります。

講演は基本的に英語で行われているのですが、言葉の壁を超えるために有志を募って翻訳を進めようと昨春始められたのがTEDオープン翻訳プロジェクトです。これを書いている現在、日本語では311のトークに字幕が付けられています(こちらを参照)。

オープン翻訳プロジェクトのことを知った時は、とても興味を持った半面、ネイティブ並みの英語力がある訳ではなく翻訳の訓練を受けたこともない自分が参加しても大丈夫なんだろうかという気持ちにもなりました。でも、自分が感銘を受けたトークを自分の力で日本語に訳すことができる機会があるということに大きな魅力を感じて参加の申し込みをしました。良い決断だったと思います。自分の場合はひとつのトークを訳すのにかなりの時間がかかりますが、やはり動画を見るだけの時と翻訳をする時では、そのトークへの関わりの度合いが大きく異なるからです。何度も何度も英語の原稿や動画を見直すうちにわかってくること、というのもある気がします。また、翻訳は"翻訳者"と"レビュアー"のペアで進むのですが、自分の訳に別の人が目を通してくれることで、訳の間違いに気づかせてくれるだけでなく、表現などの勉強にもなるというのもメリットのひとつだと思います。

このブログでも、TEDトークのお気に入りの講演や、自分が翻訳やレビューを担当したものなどを少しずつ紹介していこうと思っています。

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