自分が日本語に翻訳したTEDトークを紹介するエントリです。
前回はTEDのキュレーター クリス・アンダーソンが今年のTED Globalで行ったトークを紹介しましたが、彼は以前にも一度TEDの場で話をしています。それがこちらです。
「クリス・アンダーソンが語るTEDのビジョン」(Chris Anderson shares his vision for TED)
[TED 2002, 12分52秒]
これは2002年、クリスがTEDの運営を創立者のリチャード・ワーマンから引き継ぐに当たって、自らの来歴とTEDの目指すビジョンを語ったものです。出版社を立ち上げた起業家としての成功とドットコム・バブル崩壊後の苦境、そしてそれを乗り越えた後に残ったのがTEDのような場に注力しようという思いだった、といったことが語られています。
クリスはTEDの創設者ではありませんが、TED Conferenceで語られる講演をウェブを通じて公開したり、オープン翻訳プロジェクトを始めたりといった「TEDのオープン化」は彼がTEDのキュレーターになってから推し進められてきたものです。そのオープン化の原点が語られているとも言えるこのトークは、TEDに興味を持つ人にとって一見の価値があるものだと思います。
※クリス・アンダーソンの2010年のTEDトークはこちら
クリス・アンダーソン「ウェブ上の動画が後押しする世界のイノベーション」
2010年10月28日木曜日
2010年10月24日日曜日
クリス・アンダーソン「ウェブ上の動画が後押しする世界のイノベーション」(邦訳)
以下は、TED Talksのひとつ、 クリス・アンダーソン「ウェブ上の動画が後押しする世界のイノベーション」(Chris Anderson: How web video powers global innovation)の、拙訳による日本語訳文です。このトークについての紹介はこちらをご覧ください。
クリス・アンダーソン「ウェブ上の動画が後押しする世界のイノベーション」(紹介)
自分が日本語に翻訳したTEDトークを紹介するエントリです。
クリス・アンダーソン「ウェブ上の動画が後押しする世界のイノベーション」
(Chris Anderson: How web video powers global innovation)
[TED Global 2010, 18分53秒]
このTEDトークは、TEDのキュレーター、言わば運営者であるクリス・アンダーソン(註・「Wired」の編集長とは別人です)が今年イギリスで行われたTED Globalで話したものです。オンライン動画が持つ大きな可能性への期待と絡めて、TEDのビジョンが静かな口調で、しかし情熱的に語られています。
"言葉だけ"や"写真だけ"に比べて人々に訴えかける力を強く持つ「動画」を「オープン」に広めることで、それに興味を持つ人々が自律的に優れたものを見つけ出し、自らもそこから学んで「イノベーション」を生み出していく― このトークで語られているサイクルは、彼自身がTEDトークで実証してきたことでもあります。
TEDに関心を持つ人、また個人として・組織としてオープンな学びやイノベーションを進めていきたいと考える人には、是非見ていただきたいトークです。
※邦訳の全文をこちらのページに載せましたので、ご興味のある方はあわせてご覧になってみて下さい。
クリス・アンダーソン「ウェブ上の動画が後押しする世界のイノベーション」
(Chris Anderson: How web video powers global innovation)
[TED Global 2010, 18分53秒]
このTEDトークは、TEDのキュレーター、言わば運営者であるクリス・アンダーソン(註・「Wired」の編集長とは別人です)が今年イギリスで行われたTED Globalで話したものです。オンライン動画が持つ大きな可能性への期待と絡めて、TEDのビジョンが静かな口調で、しかし情熱的に語られています。
"言葉だけ"や"写真だけ"に比べて人々に訴えかける力を強く持つ「動画」を「オープン」に広めることで、それに興味を持つ人々が自律的に優れたものを見つけ出し、自らもそこから学んで「イノベーション」を生み出していく― このトークで語られているサイクルは、彼自身がTEDトークで実証してきたことでもあります。
TEDに関心を持つ人、また個人として・組織としてオープンな学びやイノベーションを進めていきたいと考える人には、是非見ていただきたいトークです。
※邦訳の全文をこちらのページに載せましたので、ご興味のある方はあわせてご覧になってみて下さい。
ラベル:
TED,
メディア,
翻訳したトークの紹介
2010年10月22日金曜日
「イメージのかけら」を大切にするということ
詩人・長田弘さんの対談集『問う力 始まりのコミュニケーション』を読みました。2005年から2008年の間に、岡田武史さん、ピーター・バラカンさん、桂歌丸さん、隈研吾さんなど、それぞれの分野で活躍する11人の方と長田さんが対談をした記録をまとめたものです。
自分の中では、何となく詩人というのは「自己との対話」を大事にする人なのかなという印象を勝手に抱いていたのですが、ここに記されている「他者との対話」も非常に面白いものでした。
長田さんは、コミュニケーションとはシティズンシップを日々に滋養するもので、「自ら問う」そして「自らを問う」ことで不断に支えられなければならないものだと言います。それが、上に書いた"自己との対話"、"他者との対話"につながるのだと思います。
さまざまな視点から語られるコミュニケーションの形がこの本の大きな魅力ですが、印象に残った一節をひとつ挙げるのであれば、映画監督の是枝裕和さんとの対談中に長田さんが述べた次のような言葉です。
「どんな表現も、最初はあるイメージからスタートするんだと思う。ストーリーからでなく、イメージから出発するんですね。それで最後にのこるのもまた、イメージなんですね。」
これは、以前ジブリ美術館で見て心に残っていた「空想と予感、そしてたくさんのスケッチ、イメージの断片。その中から、映画の核となるべきものが見えてきます。」という言葉と見事に重なっています。最初に現れるのは、空想の思いつきや1枚の写真で切り取られたようなイメージ。そこからストーリーや映画など、あらゆる表現が生まれてくるということを、どちらも述べているからです。
自分の中にでもそうした瞬間的なイメージが浮かぶことはあります。でもそれは、小説や映画のように連続した流れを持つものとはかけ離れたものだと思っていました。しかし、上のような言葉を見ると、両者は決して断絶しているものではないことがわかります。
空想やイメージをいかにして大切に育み、他にもあるはずのイメージの断片たちとつなぎ合わせていくのかというところに、表現における創造性があるのかもしれません。
問う力 始まりのコミュニケーション―長田弘連続対談 | |
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自分の中では、何となく詩人というのは「自己との対話」を大事にする人なのかなという印象を勝手に抱いていたのですが、ここに記されている「他者との対話」も非常に面白いものでした。
長田さんは、コミュニケーションとはシティズンシップを日々に滋養するもので、「自ら問う」そして「自らを問う」ことで不断に支えられなければならないものだと言います。それが、上に書いた"自己との対話"、"他者との対話"につながるのだと思います。
さまざまな視点から語られるコミュニケーションの形がこの本の大きな魅力ですが、印象に残った一節をひとつ挙げるのであれば、映画監督の是枝裕和さんとの対談中に長田さんが述べた次のような言葉です。
「どんな表現も、最初はあるイメージからスタートするんだと思う。ストーリーからでなく、イメージから出発するんですね。それで最後にのこるのもまた、イメージなんですね。」
これは、以前ジブリ美術館で見て心に残っていた「空想と予感、そしてたくさんのスケッチ、イメージの断片。その中から、映画の核となるべきものが見えてきます。」という言葉と見事に重なっています。最初に現れるのは、空想の思いつきや1枚の写真で切り取られたようなイメージ。そこからストーリーや映画など、あらゆる表現が生まれてくるということを、どちらも述べているからです。
自分の中にでもそうした瞬間的なイメージが浮かぶことはあります。でもそれは、小説や映画のように連続した流れを持つものとはかけ離れたものだと思っていました。しかし、上のような言葉を見ると、両者は決して断絶しているものではないことがわかります。
空想やイメージをいかにして大切に育み、他にもあるはずのイメージの断片たちとつなぎ合わせていくのかというところに、表現における創造性があるのかもしれません。
2010年10月14日木曜日
ジョージ・スムート「宇宙のデザイン」(邦訳)
以下は、TED Talksのひとつ、 ジョージ・スムート「宇宙のデザイン」(George Smoot on the design of the universe)の拙訳による日本語訳文です。このトークについての紹介はこちらをご覧ください。
ジョージ・スムート「宇宙のデザイン」(紹介)
先日翻訳したTEDトークの紹介です。
ジョージ・スムート「宇宙のデザイン」(George Smoot on the design of the universe)
[Serious Play 2008, 18分55秒]
※邦訳の原稿はこちら
ジョージ・スムートはアメリカの物理学者です。UCバークレーの教授であり、2006年のノーベル物理学賞の受賞者でもあります。
このトークでは、ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げなどで可能になった「深宇宙」探査で得られた知見をもとに、宇宙がいかにして今あるようなデザインやパターンになったのかということが語られます。突き詰めていくとものすごく難しい話なのだと思いますが、写真やイラストを使いながら説明されるのでイメージが掴みやすいと思います。
宇宙の話を聞くと、その桁外れなスケールの大きさにいつも圧倒されます。そこに想像を遥かに超える世界が広がっていることが感じられるからです。でも、身の回りのことばかりに時間や関心を振り向けてしまいがちな日々の暮らしの中で、時折このようなことに思いを馳せるのは、視点を変えるという意味でも、自らを見つめ直すという意味でも、大切なことなのではないかと思います。
(関連サイト)
George Smootが主催する研究チーム:Smoot Group
著書
ジョージ・スムート「宇宙のデザイン」(George Smoot on the design of the universe)
[Serious Play 2008, 18分55秒]
※邦訳の原稿はこちら
ジョージ・スムートはアメリカの物理学者です。UCバークレーの教授であり、2006年のノーベル物理学賞の受賞者でもあります。
このトークでは、ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げなどで可能になった「深宇宙」探査で得られた知見をもとに、宇宙がいかにして今あるようなデザインやパターンになったのかということが語られます。突き詰めていくとものすごく難しい話なのだと思いますが、写真やイラストを使いながら説明されるのでイメージが掴みやすいと思います。
宇宙の話を聞くと、その桁外れなスケールの大きさにいつも圧倒されます。そこに想像を遥かに超える世界が広がっていることが感じられるからです。でも、身の回りのことばかりに時間や関心を振り向けてしまいがちな日々の暮らしの中で、時折このようなことに思いを馳せるのは、視点を変えるという意味でも、自らを見つめ直すという意味でも、大切なことなのではないかと思います。
(関連サイト)
George Smootが主催する研究チーム:Smoot Group
著書
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ラベル:
TED,
宇宙,
翻訳したトークの紹介
2010年10月5日火曜日
ホクレア号の話
渋谷のパタゴニアで行われた、ハワイの伝統的な航海カヌー・ホクレア号の話を聞いてきました。2007年にホクレアがハワイからミクロネシアを経て日本までやって来た時の模様を記録した、吉田清継さんによる映画「アロハ!未来」を見て、それからゲストとして参加したホクレアのナビゲーター:チャッド・パイションさんと、もう1人、名前を忘れてしまったけれど同じくホクレアのクルーである女性の方の話がありました。
良い映画、素敵な話に囲まれた、シンプルでぜいたくな時間でした。
ホクレアは、地図やGPS,六分儀といった近代的な器具を一切使わず、太陽や星の動きや位置、潮の流れる方向、風、波の形、そこにいる生き物(鳥や魚など)から進路を決める、伝統航法を行います。そこでは、訓練を積んだナビゲーターの存在が非常に大きな役割を果たすことになります。
そんな数少ないナビゲーターの一人であるチャッドさんの話で、「なぜ航海するのか」と質問された時に、「自分は偉大な能力を持った先人たちの後を継ぐ者だから航海を始め、そして今は、次の世代に自らの経験や能力を引き継ぐために航海している」といった答えをしていましたが、"自分のため"ではなく、世代を超えて受け継ぎ受け継がれしていくバトンを自分は大事に預かっているのだ、という姿勢がすごく感じられたところが印象的でした。チャッドさんは、2007年の航海の途上、ミクロネシアのサタワル島でハワイの航海カヌー復活に決定的な役割を果たしたマウ・ピアイルグからPowという航海術師の称号を与えられましたが、それについても、「称号を得たということは、後に続くものにそれを継承する責任を得たということだ」とおっしゃっていました。
また、もうひとつ印象に残ったのが、ハワイでの伝統航法ナビゲーターの第一人者として知られるナイノア・トンプソンがホクレアの出航前に述べた言葉です。
I know, for sure, that we will be in a storm. The question is, "Are you ready?"
これはホクレアのクルーに向けた言葉ですが、自分にとっても鋭く問いかけられているような気になりました。これからの暮らしの中でも、きっと様々な「嵐」がある。突然現れるものも、自ら突っ込んでいかなくてはいけないものも。そうしたいろんな「嵐」に、立ち向かう準備はできているか?と。
良い映画、素敵な話に囲まれた、シンプルでぜいたくな時間でした。
ホクレアは、地図やGPS,六分儀といった近代的な器具を一切使わず、太陽や星の動きや位置、潮の流れる方向、風、波の形、そこにいる生き物(鳥や魚など)から進路を決める、伝統航法を行います。そこでは、訓練を積んだナビゲーターの存在が非常に大きな役割を果たすことになります。
そんな数少ないナビゲーターの一人であるチャッドさんの話で、「なぜ航海するのか」と質問された時に、「自分は偉大な能力を持った先人たちの後を継ぐ者だから航海を始め、そして今は、次の世代に自らの経験や能力を引き継ぐために航海している」といった答えをしていましたが、"自分のため"ではなく、世代を超えて受け継ぎ受け継がれしていくバトンを自分は大事に預かっているのだ、という姿勢がすごく感じられたところが印象的でした。チャッドさんは、2007年の航海の途上、ミクロネシアのサタワル島でハワイの航海カヌー復活に決定的な役割を果たしたマウ・ピアイルグからPowという航海術師の称号を与えられましたが、それについても、「称号を得たということは、後に続くものにそれを継承する責任を得たということだ」とおっしゃっていました。
また、もうひとつ印象に残ったのが、ハワイでの伝統航法ナビゲーターの第一人者として知られるナイノア・トンプソンがホクレアの出航前に述べた言葉です。
I know, for sure, that we will be in a storm. The question is, "Are you ready?"
これはホクレアのクルーに向けた言葉ですが、自分にとっても鋭く問いかけられているような気になりました。これからの暮らしの中でも、きっと様々な「嵐」がある。突然現れるものも、自ら突っ込んでいかなくてはいけないものも。そうしたいろんな「嵐」に、立ち向かう準備はできているか?と。
2010年10月3日日曜日
ジブリ美術館
ジブリ美術館に行ってきました。自分は2度目だったのですが、今回も満喫してきました。この美術館の魅力は、宮崎駿さんの映画のキャラクターやシーンをさまざまな形で再現していたり、作品づくりの一端を垣間見ることができるようになっていたりする展示だけではありません。照明や窓ガラスのステンドグラス、天井に描かれたイラスト、そしてドアや水道の蛇口に至るまで、丁寧にデザインされ尽くした空間が生み出す雰囲気もまた、素晴らしいものがあります。ディズニーランドのような場所とはまた違う形で、ジブリ美術館はひとつの世界観を作り上げているのだと感じました。
きょう特に印象に残ったのが、”映画の生まれる所”というコーナーにあった、「空想と予感、そしてたくさんのスケッチ、イメージの断片。その中から、映画の核となるべきものが見えてきます。」という言葉です(その場で書き写した訳ではないので細部は違ってるかもしれませんが)。その言葉どおり、部屋を模したこの場所には、たくさんのおもちゃや本、骨とう品や、スケッチ画があり、頭の中の思いつきや想像がひとつの作品になっていくまでのプロセスの一端が感じられました。と同時に、ふとした瞬間にポッと湧き出る空想やイメージの断片を、その場限りのものではなく、記録し広げていくことで、映画以外でもいろいろと面白いことにつながっていくのではないかという気がしました。
きょう特に印象に残ったのが、”映画の生まれる所”というコーナーにあった、「空想と予感、そしてたくさんのスケッチ、イメージの断片。その中から、映画の核となるべきものが見えてきます。」という言葉です(その場で書き写した訳ではないので細部は違ってるかもしれませんが)。その言葉どおり、部屋を模したこの場所には、たくさんのおもちゃや本、骨とう品や、スケッチ画があり、頭の中の思いつきや想像がひとつの作品になっていくまでのプロセスの一端が感じられました。と同時に、ふとした瞬間にポッと湧き出る空想やイメージの断片を、その場限りのものではなく、記録し広げていくことで、映画以外でもいろいろと面白いことにつながっていくのではないかという気がしました。
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