渋谷のパタゴニアで行われた、ハワイの伝統的な航海カヌー・ホクレア号の話を聞いてきました。2007年にホクレアがハワイからミクロネシアを経て日本までやって来た時の模様を記録した、吉田清継さんによる映画「アロハ!未来」を見て、それからゲストとして参加したホクレアのナビゲーター:チャッド・パイションさんと、もう1人、名前を忘れてしまったけれど同じくホクレアのクルーである女性の方の話がありました。
良い映画、素敵な話に囲まれた、シンプルでぜいたくな時間でした。
ホクレアは、地図やGPS,六分儀といった近代的な器具を一切使わず、太陽や星の動きや位置、潮の流れる方向、風、波の形、そこにいる生き物(鳥や魚など)から進路を決める、伝統航法を行います。そこでは、訓練を積んだナビゲーターの存在が非常に大きな役割を果たすことになります。
そんな数少ないナビゲーターの一人であるチャッドさんの話で、「なぜ航海するのか」と質問された時に、「自分は偉大な能力を持った先人たちの後を継ぐ者だから航海を始め、そして今は、次の世代に自らの経験や能力を引き継ぐために航海している」といった答えをしていましたが、"自分のため"ではなく、世代を超えて受け継ぎ受け継がれしていくバトンを自分は大事に預かっているのだ、という姿勢がすごく感じられたところが印象的でした。チャッドさんは、2007年の航海の途上、ミクロネシアのサタワル島でハワイの航海カヌー復活に決定的な役割を果たしたマウ・ピアイルグからPowという航海術師の称号を与えられましたが、それについても、「称号を得たということは、後に続くものにそれを継承する責任を得たということだ」とおっしゃっていました。
また、もうひとつ印象に残ったのが、ハワイでの伝統航法ナビゲーターの第一人者として知られるナイノア・トンプソンがホクレアの出航前に述べた言葉です。
I know, for sure, that we will be in a storm. The question is, "Are you ready?"
これはホクレアのクルーに向けた言葉ですが、自分にとっても鋭く問いかけられているような気になりました。これからの暮らしの中でも、きっと様々な「嵐」がある。突然現れるものも、自ら突っ込んでいかなくてはいけないものも。そうしたいろんな「嵐」に、立ち向かう準備はできているか?と。
2010年10月5日火曜日
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