ローレンス・レッシグ:法が創造性を圧迫する(Larry Lessig on laws that choke creativity)
[TED2007, 18分59秒]
話者のローレンス・レッシグは、ハーバード大(講演当時はスタンフォード大)の法学者。邦訳もある「CODE」や「コモンズ」などの著書を通じて、また、クリエイティブ・コモンズの運動などを通じて、ネット上の創作活動と著作権について積極的に発言してきた人です。
このトークは、レッシグが2008年に原書を出した現時点の最新刊「REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方」で主張していることの内容をまとめたものだと言えます。デジタル技術を使って作成・配布されるユーザー作成コンテンツにおける”リミックス”を一方的に非合法だとするのではなく、それを今の時代には欠かせない表現のあり方のひとつと捉えて、商業面での制約と文化面で許容できる範囲を組み合わせていこう、といった趣旨の話がされていきます。
特筆すべきは、巧みな例を引きながら積み重ねられていく議論の明晰さです。このトークを翻訳してしばらくしてから「REMIX」の原書を読んだ時、TEDで話されている言葉の一部が、一言一句そのまま本にも収録されているのを見つけて驚きました。そしてそれは、話し言葉として聞いても、本に納められた文章として読んでも、全く違和感がないのです。内容の面白さはもちろん、論理の組み立て方を学びという意味でも非常に勉強になるトークです。
蛇足ですが、これは僕が初めて翻訳したTEDトークです。昨年の春、TEDがオープン翻訳プロジェクトを始めることを知りました。人に見せる翻訳などそれまでしたことがなかったのですが、すごく共感を覚え、思い切って翻訳に手を挙げたのがこのトークです。翻訳のレベルについてはいろいろとご意見もあるかもしれませんが、ここで一歩を踏み出したことで、その後のTEDトークとの関わり方がぐっと深くなりました。また、翻訳&レビューを通じた人とのつながりという点でも、自分の世界が大きく広がるきっかけになりました。なので、自分にとって非常に思い出深いTEDトークです。
※このトークの邦訳原稿は、こちらでご覧になることができます。
<関連リンク>
・Lessig Blog (2009年8月から更新なし)
・ハーバード大学でのプロフィールページ
・このトークと関連のある著書
REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方 | |
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