以下は、TED Talksのひとつ「ローレンス・レッシグ:法が創造性を圧迫する(Larry Lessig on laws that choke creativity)」の、拙訳による日本語訳文です。このトークの紹介についてはこちらをご覧ください。
2010年11月28日日曜日
「ローレンス・レッシグ:法が創造性を圧迫する」(紹介)
自分が日本語に翻訳したTEDトークを紹介するエントリです。
ローレンス・レッシグ:法が創造性を圧迫する(Larry Lessig on laws that choke creativity)
[TED2007, 18分59秒]
話者のローレンス・レッシグは、ハーバード大(講演当時はスタンフォード大)の法学者。邦訳もある「CODE」や「コモンズ」などの著書を通じて、また、クリエイティブ・コモンズの運動などを通じて、ネット上の創作活動と著作権について積極的に発言してきた人です。
このトークは、レッシグが2008年に原書を出した現時点の最新刊「REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方」で主張していることの内容をまとめたものだと言えます。デジタル技術を使って作成・配布されるユーザー作成コンテンツにおける”リミックス”を一方的に非合法だとするのではなく、それを今の時代には欠かせない表現のあり方のひとつと捉えて、商業面での制約と文化面で許容できる範囲を組み合わせていこう、といった趣旨の話がされていきます。
特筆すべきは、巧みな例を引きながら積み重ねられていく議論の明晰さです。このトークを翻訳してしばらくしてから「REMIX」の原書を読んだ時、TEDで話されている言葉の一部が、一言一句そのまま本にも収録されているのを見つけて驚きました。そしてそれは、話し言葉として聞いても、本に納められた文章として読んでも、全く違和感がないのです。内容の面白さはもちろん、論理の組み立て方を学びという意味でも非常に勉強になるトークです。
蛇足ですが、これは僕が初めて翻訳したTEDトークです。昨年の春、TEDがオープン翻訳プロジェクトを始めることを知りました。人に見せる翻訳などそれまでしたことがなかったのですが、すごく共感を覚え、思い切って翻訳に手を挙げたのがこのトークです。翻訳のレベルについてはいろいろとご意見もあるかもしれませんが、ここで一歩を踏み出したことで、その後のTEDトークとの関わり方がぐっと深くなりました。また、翻訳&レビューを通じた人とのつながりという点でも、自分の世界が大きく広がるきっかけになりました。なので、自分にとって非常に思い出深いTEDトークです。
※このトークの邦訳原稿は、こちらでご覧になることができます。
<関連リンク>
・Lessig Blog (2009年8月から更新なし)
・ハーバード大学でのプロフィールページ
・このトークと関連のある著書
ローレンス・レッシグ:法が創造性を圧迫する(Larry Lessig on laws that choke creativity)
[TED2007, 18分59秒]
話者のローレンス・レッシグは、ハーバード大(講演当時はスタンフォード大)の法学者。邦訳もある「CODE」や「コモンズ」などの著書を通じて、また、クリエイティブ・コモンズの運動などを通じて、ネット上の創作活動と著作権について積極的に発言してきた人です。
このトークは、レッシグが2008年に原書を出した現時点の最新刊「REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方」で主張していることの内容をまとめたものだと言えます。デジタル技術を使って作成・配布されるユーザー作成コンテンツにおける”リミックス”を一方的に非合法だとするのではなく、それを今の時代には欠かせない表現のあり方のひとつと捉えて、商業面での制約と文化面で許容できる範囲を組み合わせていこう、といった趣旨の話がされていきます。
特筆すべきは、巧みな例を引きながら積み重ねられていく議論の明晰さです。このトークを翻訳してしばらくしてから「REMIX」の原書を読んだ時、TEDで話されている言葉の一部が、一言一句そのまま本にも収録されているのを見つけて驚きました。そしてそれは、話し言葉として聞いても、本に納められた文章として読んでも、全く違和感がないのです。内容の面白さはもちろん、論理の組み立て方を学びという意味でも非常に勉強になるトークです。
蛇足ですが、これは僕が初めて翻訳したTEDトークです。昨年の春、TEDがオープン翻訳プロジェクトを始めることを知りました。人に見せる翻訳などそれまでしたことがなかったのですが、すごく共感を覚え、思い切って翻訳に手を挙げたのがこのトークです。翻訳のレベルについてはいろいろとご意見もあるかもしれませんが、ここで一歩を踏み出したことで、その後のTEDトークとの関わり方がぐっと深くなりました。また、翻訳&レビューを通じた人とのつながりという点でも、自分の世界が大きく広がるきっかけになりました。なので、自分にとって非常に思い出深いTEDトークです。
※このトークの邦訳原稿は、こちらでご覧になることができます。
<関連リンク>
・Lessig Blog (2009年8月から更新なし)
・ハーバード大学でのプロフィールページ
・このトークと関連のある著書
REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方 | |
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ラベル:
TED,
メディア,
翻訳したトークの紹介
2010年11月24日水曜日
レイチェル・サスマン「世界で最も長寿な生物」(邦訳)
以下は、TED Talksのひとつ、レイチェル・サスマン「世界で最も長寿な生物」(Rachel Sussman: The world's oldest living things)の、拙訳による日本語訳文です。このトークの紹介についてはこちらをご覧ください。
レイチェル・サスマン「世界で最も長寿な生物」(紹介)
自分が日本語に翻訳したTEDトークを紹介するエントリです。
レイチェル・サスマン「世界で最も長寿な生物」(Rachel Sussman: The world's oldest living things)
[TED Global 2010, 14分9秒]
世界を回って二千年以上生き続けている生物を写真に収めるというプロジェクト「The oldest living things in the world」に取り組む写真家の話です。スピーカーのレイチェル・サスマンは、屋久島の縄文杉を見てこのプロジェクトを思いつき、長寿の生物を探してグリーンランドから南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなどを訪ねてきました。
そこでカメラに写し取られたのは、様々な形をした木々やサンゴ、苔などが、それぞれ工夫を凝らして数千年ものあいだ命をつないできた姿でした。レイチェルによると、動物の場合は記録に残っている最長寿のカメが175歳、アイスランド沖で見つかったしゃこ貝が405歳だと言いますから、植物の寿命は動物を圧倒していることがわかります。多様な形態や手段を用いて生き永らえてきた植物たちの強靭な生命力に感じ入りました。
The oldest living things in the world are a record and celebration of our past, a call to action in the present and a barometer of our future. - Rachel Sussman
※このトークの邦訳原稿は、こちらでご覧になれます。
レイチェル・サスマン「世界で最も長寿な生物」(Rachel Sussman: The world's oldest living things)
[TED Global 2010, 14分9秒]
世界を回って二千年以上生き続けている生物を写真に収めるというプロジェクト「The oldest living things in the world」に取り組む写真家の話です。スピーカーのレイチェル・サスマンは、屋久島の縄文杉を見てこのプロジェクトを思いつき、長寿の生物を探してグリーンランドから南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなどを訪ねてきました。
そこでカメラに写し取られたのは、様々な形をした木々やサンゴ、苔などが、それぞれ工夫を凝らして数千年ものあいだ命をつないできた姿でした。レイチェルによると、動物の場合は記録に残っている最長寿のカメが175歳、アイスランド沖で見つかったしゃこ貝が405歳だと言いますから、植物の寿命は動物を圧倒していることがわかります。多様な形態や手段を用いて生き永らえてきた植物たちの強靭な生命力に感じ入りました。
The oldest living things in the world are a record and celebration of our past, a call to action in the present and a barometer of our future. - Rachel Sussman
※このトークの邦訳原稿は、こちらでご覧になれます。
ラベル:
nature,
TED,
翻訳したトークの紹介
「僕たち、こうして店をつくりました~独立開業のニュースタンダード」 井川直子 著
主に30代の、自ら店を構えてそれを軌道に乗せている若手料理人たちを取材し、彼らが持つ世界観や、修行時代から開店までの来歴、そして今に至る試行錯誤などをまとめた本です。
全部で9店が紹介されていますが、それぞれの店にかける料理人たちの思いや、それを実現するために取ってきた具体的な行動が、開店や改装に至る金銭面まで含め、バランス良く取材されています。この本を広く「起業もの」に含めるならば、最近読んだその系統の本の中では一番面白かった作品です。
この本に出てくる人たちが、志を持った料理人であり、また自らの店の経営者であるということを特に印象づけられた言葉を、いくつか抜粋・引用します。
「みんながワイワイやっているのを眺めながら、将来僕もこういう場を作りたいと思ったんです。楽しそうな人たちを端から見ているのが、僕は好きなんですね。」(三鷹バルの一瀬智久さん)
「"料理をつくる"ということを知らない人が経営する店は、何か食欲の根幹を刺激しない気がしていた」(アヒルストアの齊藤輝彦さん)
「三國シェフが世界を唸らせる人であるならば、僕は家族や友人や地元の人たちの目線で仕事をする人間。」(シエル・ドゥ・リヨンの村上理志さん)
「わざわざ足を運んでもらう店でなく、人がたくさんいる賑やかな場所で、そこに集まる人たちに気軽に来てもらう店をつくろうと思いました。」(パッソ・ア・パッソの有馬邦明さん)
もうひとつこの本を読んで感じたのは、16~17歳ぐらいで「将来は自分の店を持つ」と心に決め、そのために必要な知識やスキルを長期的に見据えながら就職する店を決めたりイタリアやフランスなどへ修行に赴いたりする、といったプロセスを一つずつ積み上げてきた人が多いんだなということでした。料理人の世界では当たり前のことなのかもしれません。でも、会社員家庭に育ち、普通に大学を卒業して就職するという道を辿ってきた自分にとっては、彼らが若いころから将来への夢をはっきりと描いていること、そしてそれを実現するために計画的に自らを磨きあげていることにある意味驚きを感じました。それが"料理人"と"会社員"という環境的なものなのか、あるいは個人的な資質なのかはわかりませんが。
料理人の世界、特に自らの店を持つということは自分の腕で勝負するということであり、まさにプロフェッショナルの世界なのだな、と強く感じました。
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全部で9店が紹介されていますが、それぞれの店にかける料理人たちの思いや、それを実現するために取ってきた具体的な行動が、開店や改装に至る金銭面まで含め、バランス良く取材されています。この本を広く「起業もの」に含めるならば、最近読んだその系統の本の中では一番面白かった作品です。
この本に出てくる人たちが、志を持った料理人であり、また自らの店の経営者であるということを特に印象づけられた言葉を、いくつか抜粋・引用します。
「みんながワイワイやっているのを眺めながら、将来僕もこういう場を作りたいと思ったんです。楽しそうな人たちを端から見ているのが、僕は好きなんですね。」(三鷹バルの一瀬智久さん)
「"料理をつくる"ということを知らない人が経営する店は、何か食欲の根幹を刺激しない気がしていた」(アヒルストアの齊藤輝彦さん)
「三國シェフが世界を唸らせる人であるならば、僕は家族や友人や地元の人たちの目線で仕事をする人間。」(シエル・ドゥ・リヨンの村上理志さん)
「わざわざ足を運んでもらう店でなく、人がたくさんいる賑やかな場所で、そこに集まる人たちに気軽に来てもらう店をつくろうと思いました。」(パッソ・ア・パッソの有馬邦明さん)
もうひとつこの本を読んで感じたのは、16~17歳ぐらいで「将来は自分の店を持つ」と心に決め、そのために必要な知識やスキルを長期的に見据えながら就職する店を決めたりイタリアやフランスなどへ修行に赴いたりする、といったプロセスを一つずつ積み上げてきた人が多いんだなということでした。料理人の世界では当たり前のことなのかもしれません。でも、会社員家庭に育ち、普通に大学を卒業して就職するという道を辿ってきた自分にとっては、彼らが若いころから将来への夢をはっきりと描いていること、そしてそれを実現するために計画的に自らを磨きあげていることにある意味驚きを感じました。それが"料理人"と"会社員"という環境的なものなのか、あるいは個人的な資質なのかはわかりませんが。
料理人の世界、特に自らの店を持つということは自分の腕で勝負するということであり、まさにプロフェッショナルの世界なのだな、と強く感じました。
2010年11月18日木曜日
TEDxTokyo yz
TEDxTokyo yz - Theater - に参加してきました。
ヒューマンビートボクサーのDaichiさんが奏でるベースやドラムの「一人多重演奏会」からピースボートの小野寺愛さんによる出産と子育ての話、そして南カリフォルニア大のシネマスクール出身の落合賢さんが語るコミュニケーションとしての映画作りなど、トークもパフォーマンスも存分に楽しんできました。
TEDの生のイベントに参加するのは今年のTEDxTokyo (運営スタッフとして参加)以来2度目でしたが、スピーカーや他の参加者たちとリアルな場を共有することで、そこから得られる感動やインスピレーションが何倍にも増幅されるなということを、今回も強く感じました。
もちろんそれは、会場が持つ雰囲気や、参加者をくつろがせ、対話が生まれやすい空気を作る運営スタッフの力量によるところも大きいはずです。でも同時に、「この場所をより面白い場所にしていこう」という意識を持った参加者が多かったことも大きな理由の一つだと思います。
また、TEDトークのライブ・パフォーマンスはウェブ上の動画で見るとあまり目立たないことが多いように感じるのですが、会場で目の当たりにすると、演者の肉体の動きや息遣いなどがそのまま伝わってきて、ものすごいパワーを発しているものだということも、改めて感じました(TEDxTokyoでは、シルク・ドゥ・ソレイユがそうでした)。
トーク終了後のパーティも含め、ワクワクするような刺激をたくさん受けた夜でした。
ヒューマンビートボクサーのDaichiさんが奏でるベースやドラムの「一人多重演奏会」からピースボートの小野寺愛さんによる出産と子育ての話、そして南カリフォルニア大のシネマスクール出身の落合賢さんが語るコミュニケーションとしての映画作りなど、トークもパフォーマンスも存分に楽しんできました。
TEDの生のイベントに参加するのは今年のTEDxTokyo (運営スタッフとして参加)以来2度目でしたが、スピーカーや他の参加者たちとリアルな場を共有することで、そこから得られる感動やインスピレーションが何倍にも増幅されるなということを、今回も強く感じました。
もちろんそれは、会場が持つ雰囲気や、参加者をくつろがせ、対話が生まれやすい空気を作る運営スタッフの力量によるところも大きいはずです。でも同時に、「この場所をより面白い場所にしていこう」という意識を持った参加者が多かったことも大きな理由の一つだと思います。
また、TEDトークのライブ・パフォーマンスはウェブ上の動画で見るとあまり目立たないことが多いように感じるのですが、会場で目の当たりにすると、演者の肉体の動きや息遣いなどがそのまま伝わってきて、ものすごいパワーを発しているものだということも、改めて感じました(TEDxTokyoでは、シルク・ドゥ・ソレイユがそうでした)。
トーク終了後のパーティも含め、ワクワクするような刺激をたくさん受けた夜でした。
2010年11月9日火曜日
「クリス・アンダーソンが語るTEDのビジョン」(邦訳)
以下は、TED Talksのひとつ、 「クリス・アンダーソンが語るTEDのビジョン」(Chris Anderson shares his vision for TED)の、拙訳による日本語訳文です。このトークについての紹介はこちらをご覧ください。
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