2010年12月31日金曜日

「ゲーバー・タリー:子どもがすべき5つの危険なこと」(翻訳)

以下は、TED Talksのひとつ「ゲーバー・タリー:子どもがすべき5つの危険なこと (Gever Tulley on 5 dangerous things for kids)」の、拙訳による日本語訳文です。このトークの紹介についてはこちらをご覧ください。






「子どもにさせるべき5つの危険なこと」にようこそ。私には子どもがいません。友人たちの子どもを借りています。 - だから (笑い) これからの話は鵜呑みにしないで下さい。私はゲーバー・タリーです。コンピュータ科学者をしていますが 工作の学校と呼ばれるところの創始者でもあります。そこはサマースクールで、子どもたちが 思い描くものの作り方を学ぶ手助けをします。私たちはたくさんのものを作ります。小学校2年生にも電動工具を持たせます。だから、もしあなたがたの子どもを工作の学校に参加させたなら 打ち身や引っかき傷を作り、血を流して帰ってくるでしょう。知っての通り、世の中では 子どもの安全規制がますます厳しくなっています。それがどれほどおかしなものになるのか、際限がないように思えます。アメリカで製造されたり、アメリカで販売される製品につけられた全てのビニール・フィルムには 窒息注意の警告が書かれています。コーヒーカップには 中身が熱いかもしれないという注意書きがあります。それに私たちは、ゴルフボールよりも鋭いものは全て10歳以下の子どもにとっては鋭すぎると考えているかのようです。

この風潮はどこで止まるのでしょうか? あらゆる場所をまわって全ての尖ったものや 刺さるものを取り去ったならば 子どもたちが初めて何か鋭いものや 丸いプラスチック製のもの以外の何かに接した時 彼らはそれで怪我をするでしょう。安全ゾーンの範囲を狭めるにつれて 我々は子どもたちを身の回りの世界との接し方を学ぶ貴重な機会から遠ざけているのです。それに我々が精一杯努力したとしても 子どもたちはいつも 自分たちにできる一番危険なことを見つけようとします。たとえどんな環境であっても。だから、挑発的なタイトルをつけてはいますが、このプレゼンテーションは実は安全と、子どもたちの創造性を育み彼らに自信を持たせ、身の回りの環境をコントロールできるようにするための育て方についての話なのです。これから私が紹介するのは執筆中の本からの抜粋です。その本は「50の危険なこと」という題名です。これから話すのは5つです

一つ目 ‐ 火を使って遊びなさい。自然界の最も基本的な力のひとつをコントロールすることを学ぶのは どんな子どもの人生にとっても極めて重要な瞬間です。覚えていようがいまいが それは私たちが謎めいた自然の力のひとつを初めてコントロールした時なのです。それらの謎が解き明かされるのは 火で遊ぶ機会を得た者に対してのみです。火で遊ぶこと それは私たちがこれまでに発見した偉大なことのひとつです。火で遊ぶことにより、子どもたちは火について、 また吸気、燃焼、排気についての基本原理を学びます。これらは上手に火をコントロールするために必要な3つの要素です。露天の火は研究所のようなものです。子どもたちがそれで遊ぶことから何を学ぶのかはわかりません。でも、彼らのやり方で火と遊ばせてみなさい。すると子どもたちは「ドーラといっしょに大冒険」のおもちゃで遊んでも 得られないようなことを学ぶでしょう。

二つ目 ‐ ポケットナイフを持ちなさい。ポケットナイフは私たちの文化意識から流れ出てしまっているかのようです。それはひどいことだと思います (笑い)。 初めてのポケットナイフは自分に与えられた初めての万能ツールです。それはヘラでもあり、バールでもあり、ネジ回しでもあり、刃でもあります。そしてそれは - それは力強くまた力を与えてくれる道具でもあります。多くの文化では幼児になるとすぐに ナイフを与えられます。これはイヌイットの子どもたちが鯨の脂身を切っているところです。私は10歳の時にこれをカナダ映画庁の映画で見て、 赤ん坊がナイフで遊んでいるというのは以来ずっと心に残っていました。子どもたちはとても幼い時でも道具を通して自らの能力が広がっていくのを感じることができるのです。2,3のとても簡単な決まりごとを作ってください。いつも体から離して切ることや、刃を鋭くしておくこと、そして無理をしないこと ― これらは子どもたちが理解できますし、実行できることです。確かに子どもたちは怪我をするでしょう。私の足には自分でやったひどい切り傷がいくつかあります。でも子どもたちは若いので治りも早いのです (笑い)。

三つ目 - 槍を投げなさい。私たちの脳は実のところ物を投げることとつながっています。そして筋肉のように、もし脳の一部を使わなければ その部分はやがて退化します。でももし使われれば どんな筋肉でも全体を力強くします。脳でも同じことが言えるのです。物を投げる練習をすることは前頭葉と側頭葉を 刺激することがわかっていて、 それは視覚の鋭敏さや三次元の理解力、そして構造的な問題解決力と 関連があります。だから物を投げるのは意味があることなのです。それは子どもたちの視覚化能力や予測力を伸ばすのに役立つのです。投げるというのは分析力と身体の技能が合わさった行為です。だから全身のトレーニングにはとてもよいのです。こうしたターゲットのある訓練は 子どもたちの注意力や集中力を伸ばすのにも有効です。物を投げるのはすごいことなのです。

四つ目 - 電化製品を分解しなさい。家の皿洗い機の中には面白いものが詰まった世界が広がっています。次に何かの電化製品を処分する時には、捨てるのではなく 子どもと一緒に分解するか、子どもを私の学校に来させてください。そうすれば私たちが一緒に分解しますから。知らない部品だったとしても それが何なのかを解き明かすことは 子どもたちにとってとてもよい訓練です。彼らは物を分解できるんだという意識を持つようになりますし どんなに複雑な物でも その一部がわかれば最終的には全体を理解できるんだと思うようになるでしょう。それは、何かを知ることができるという意識です。私たちが当たり前のように接しているこれらの謎の箱は 誰かが作ったかなり複雑な物なのですが あなたはそれを理解することができるのです。

五つ目 - ここは2つあります。まず、デジタル著作権法に違反しなさい(笑い)。 安全規制のほかにも 私たちと自らの所有する物 -この場合はデジタル・メディア- との間の 接し方を制限しようとする法律があります。とても簡単な練習です - iTunesで曲を買い、それをCDに書き込み、 そのCDをMP3にリッピングして同じパソコンで曲をかけて下さい。法律に違反したことになります。法的には全米レコード協会がやってきてあなたを処罰することができます。一部の法律には偶然に違反してしまうことがあること そして法律には解釈が必要だということを学ぶのは 子どもたちにとって大切なレッスンです。それは、我々が物と戯れながらそれをこじ開け 分解して何か別な目的に使ったり、 車で出かけたりする時に 子どもに話すようなことです。車を運転すること - それは小さな子どもにとって本当にわくわくするような行為です。これは究極です (笑い)。

実際に法律違反することはあまり気が進まないという人は 子どもと一緒に運転すればいいのです。これは子どもにとってはものすごい舞台です。子どもが車に夢中になるのは 彼らが恐竜のようなもの、外の世界にある大きな物を 理解しようとするのと同じ時期のことです。車も同じようなもので、しかも子どもたちは車に乗りこんで運転することができるのです。それは正に、子どもたちに普段はできないような 方法で世界に触れる機会を与えることになるのです。そしてそれは完全に合法的です。広い空き地を見つけて、そこに何もないことと それが私有地であることを確認し、子どもたちに車を運転させなさい。実際それはとても安全です それに家族全員が楽しめるでしょう (笑い)。 そうですね これで終わりです。これが5番目と半分です。以上。

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