カラー版 パタゴニアを行く―世界でもっとも美しい大地 (中公新書) | |
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写真と時に詩的な文章のバランスがすごく良いな、また、現地に住んでいるからこそ可能な視点や人とのつながりを最大限に生かして書かれた本だな、というのが、まず感じたことです。最近は段々と年を取ってきたせいか、旅行記などを読んでも以前ほど響かなくなっていたのですが、久々に「すぐにでも旅行に出たい」という気持ちになりました。パタゴニアは、ブルース・チャトウィンや椎名誠さんのエッセイで、また高品質なアウトドア衣料品を扱う会社の名前として、大分と前から気になる存在ではあったのですが、この本を読んで、自分の中ではっきりと「是非とも訪れてみたい場所」になりました。
読み返してみて特に印象的だったのが、著者が先住民族の人との交流の中で聞いた言葉を記している箇所でした。
「大地が人間に属しているのではなく、人間が大地に属しているのだよ」(マプーチェ族のセルマ婆ちゃんによる言葉)
「一人ぼっちで闇の中に放り出されたとき、大切なのは焦らずに、まず心に大きな白地図を描くこと。そこに知識をひとつずつ当てはめていく。そして自分の思った方角の闇へ、一気に漕ぎ出す。ありったけのエネルギーをつぎ込んで。絶対にその先に自分の場所がある、と信じてイメージするんだ。もしそのイメージが崩れたら、きっと遭難してしまうだろう。信じること。そこにあることをただまっすぐ、信じるんだ。」(海洋民族カワスカル族の一員で、カヌーの伝統航海術を知るリンチェさんの言葉)
こんな言葉を読んでいると、アラスカで先住民と交流を深めた星野道夫さんの著作が思い出されました。極北と、極南。遠く離れた場所から同じ雰囲気が漂ってくるのは、きっと、偶然ではないのだろうなと思います。
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