2011年7月5日火曜日

カミール・シーマン「心に焼きつく氷山の写真」(日本語訳文)

以下は、TED Talksのひとつ「カミール・シーマン「心に焼きつく氷山の写真」(Camille Seaman: Haunting photos of polar ice)」の、拙訳による日本語訳文です。このトークの紹介についてはこちらをご覧ください。






芸術家として私は つながりをとても大切にしています 人間は自然と切り離された存在ではなく 全てはつながっているのだということを 作品を通して示したいと思っています 10年近く前に初めて南極を訪れ 初めて氷山を見たとき 畏敬の念に打たれました 胸がドキドキして めまいを感じながら 目の前にあるのが何物なのか 理解しようとしました 周りにある氷山はみな 水面から60メートル近くそそり立っていました 雪のひとひら ひとひらが 長年に渡って降り積もって これができたのだろうかと 思わずにいられませんでした

氷山とは 氷河や棚氷から分離した 氷の塊です 氷山には それぞれ個性があります 周囲の環境や 自らの体験への対し方に 独自の流儀を持っています 最後まであきらめずに 氷山の形を保とうとするものもあれば 耐えきれずに 劇的な感情の爆発に崩れ落ちるものもあります

氷山を人になぞらえて 孤独なのだなとか ひとりぼっちなのだなと 考えがちです でも実際はそうではありません 氷山が解けるとき 私が吸っているのは 太古の空気なのです 氷山が解けるとき ミネラルに富んだ真水となって 多くの生命を育むのです

私は ご先祖の肖像写真を撮るつもりで 氷山の写真を撮っています 氷山はそのとき そのときの固有の姿を見せ 同じ姿を見せることは二度とないのだと わかっているからです 氷山が解けるのは 死とは違います 終わりではなく 命の連環を通して つながっていくのです 私が撮った氷山のあるものはとても若く ほんの2,000歳くらい でも中には 10万年以上前の氷もあります

お見せしたい最後の写真は グリーンランドの キアーターティベジアク島で撮った 氷山の写真です 氷山が回転するのを 実際に目にする機会は 滅多にありません それをお見せしましょう 左に小さなボートが見えます 4.5メートルほどの長さのボートです 氷山の形と 水面に接している部分に 注目して下さい ここで回転が始まり ボートは反対側に抜け 人が立ち上がっています これはグリーンランドで標準的な大きさの氷山で 高さが120フィート つまり40メートルほどあります 実際の速度の映像でご覧いただきましょう

(音楽)

このように 氷山が別な顔を見せてくれたのです

ありがとう

(拍手)

※この翻訳は、Yasushi Aokiさんにレビューをしていただきました。

0 件のコメント:

コメントを投稿